ハイゼンベルクの顕微鏡

ハイゼンベルクの顕微鏡~不確定性原理は超えられるか

ハイゼンベルクの顕微鏡~不確定性原理は超えられるか

あのアインシュタイン量子力学は最後まで信じようとしなかった、という話は有名だ。

・・・とはいえ本当に正しいなら、なぜアインシュタインシュレディンガーのような優れた能力の持ち主を納得させられなかったのだろうかという疑問もある。ボーアとアインシュタインの論争は一般に、相対性理論のような革命的な理論を生み出した人であっても、「神はサイコロ遊びをしない」という非科学的な主張をしてしまうことがある例だ、などと教訓めいた片付け方がされがちである。しかし第3章で見た光子箱の思考実験や、第4章で説明したEPRの問題から分かるように、単純に教訓話と片付けることはできないのである。

不確定性原理をめぐって、ボーアやハイゼンベルクアインシュタインが火花を散らす戦いが面白い。まさに

アインシュタイン不確定性原理を破る思考実験を提出すると、ボーアがそれに反論し、やはり不確定性原理が成り立っていることを示す。その繰り返しによって、逆に量子力学は概念が明確になり、鍛錬されていった。

のだ、と実感した。やはりアインシュタインはすごいなー、と感動した。この「知力を尽くして徹底的に疑う」という姿勢がアインシュタインの業績を生んだ原動力だと思うし、この姿勢こそが「科学とは何ぞや」を物語っているのだと思う。最近流行の疑似科学ニセ科学とは大違いだ。
で、肝心の内容なんですが・・・。
難しくて半分も分かりませんでした。トホホ
でも、日本の学者である小澤正直氏が、ハイゼンベルクの不等式を打ち破る新たな不等式を提案するくだりは興奮した。数学や物理で欧米人の名前のついた式ばかりを習ってきた身としては、やはりこういった根本的な式を日本人が書き換えたという逸話に素直に嬉しくなってしまう。まだ実験によって実証されたわけではないようだが、今後の研究に期待しよう。
・・・いやぁ、それにしても物理って、哲学ですなぁ。主観って何か、時間・空間って何か、人生って何か。