7名の作家が自炊代行業者を訴えるそうだ。

訴えが正当なものかどうかについては、僕には分からない。電子書籍については、Kindleを購入して以来実に読書が楽しめているので、どんどん広がって欲しいなとは願っている。だからこのような訴訟が電子書籍の未来に水を差すものであって欲しくはないと思う。

ただ、訴えを起こした作家たちを批判するのも何か違う気がしている。

これも Innovator's Dilemma の構図と思う。電子書籍市場は成長分野だと思うが、絶対規模は少なくとも日本においてはまだまだ小さいだろう。だから既存の大手出版社や売れっ子作家にとっては電子書籍市場は魅力的には映らないだろうし、下手に手を出すと紙の書籍の売上を落としてしまう可能性だってあるだろう。

つまり、大手出版社や売れっ子作家が「自炊」や電子書籍を忌避するのは、彼らなりの合理的な判断の結果なんだろうなと斟酌する。

ただ、裁判所がどう判断するか、するべきか、は日本におけるこれからの書籍のあり方、ひいては社会のデザインに大きく影響を与えるものであるから、大いに議論し意見するべきだろうなと思う。

それから、Innovator's Dilemma の構図で考えれば電子書籍イノベーションを既存のマーケットリーダーに期待するのは的外れではなかろうか。別のプレーヤーが市場を破壊しひっくり返す未来に期待するべきじゃなかろうか。