もしもネット通貨があったなら

そもそもネットにお金ってあるの?

こんな記事を読んだ。
2006-05-18
この記事にこの一文がある。

それは、『ネットはお金が居づらい世界なんじゃないか?』ということ。

すごく面白い記事で刺激を受けた。でも考えてみるとね、居づらい云々言う前に、こう問うてみたいんだ。

そもそもネットにお金ってあるの?お金は常に「こちら側」にあるのであって、「あちら側」にはないんじゃないの?だから「居づらい世界」ではなくて「ネットはお金が居ない世界」じゃないのかな?

モノ⇔情報 交換

上記の記事では、そもそものお金の役割を挙げている。

お金は物々交換の限界を破るために生まれた。物々交換の時代は、直接物やサービスを取引するので、時間と場所を一致させないとトレードが成り立たない。漁師が魚を取り、農家がお米をつくる。それを直接交換する。こういった形だ。

これに対してウェブはこうだという。

ところが、Webは、お金がなくてもこういう制限が解消されてしまっているのだ。

取引する人を探したり出会うのも簡単(検索エンジンSNS、オークション)。物やサービスや情報のやり取りも簡単。もちろん時間や場所にも縛られない。

だから、お金がそもそも必要ない世界なんじゃないかと。

そう、お金は物々交換の限界を破るために生まれた。ではネットで交換されているものは何か。
「情報」だ。
では「情報交換」の限界を破るためにお金は要るか?否、要らないだろうね。情報交換に関しては上記の記事が言うとおりだと思う。

では「モノと情報の交換」は?

僕はココにはお金の活躍場所が十分あると思うのだ。モノそのものと情報を交換するのはかなりしんどい。それよりはお金と情報を交換するほうがよっぽどいい。だけど、その「お金と情報の交換すらうまくいってない」というのが現状だ。それは何故なんだ?そこを考えていかないとダメなんじゃないかな。

ネットで買い物?面倒だし、不安だし、、、

ネット上で情報交換をしているとき、我々は実に身軽だ。クリックでどこにでも飛んでいける。自分の名を明かす必要すらない。
しかし、「買い物」となった瞬間に状況は一変する。現実のお金を払う以上、こちら側とあちら側をつなげなくちゃならない。自分の名を明かしたり、個人情報を入力したり、カードの情報を入力したり、が必要になる。さっきまで身軽だった体が急に重くなる。「これだったらリアルの世界で買い物したほうがラクじゃん」っていう気分になる。「個人情報を入れるのってちょっとイヤだなぁ」と気が重くなる。
確かに一度amazonのアカウントを作ってしまえば次からはラクだけどね。お店ごとにいちいちアカウントを持つのはめんどくさい。財布の中がカードだらけ、みたいな感じ。近くの駄菓子屋でチロルチョコを買いたいだけなのに、いちいち会員登録が必要だったら面倒になってしまう。コンビニでものを買うのに名前を聞かれたことなんて一度もないのに!

こちら側とあちら側は違う国

こう考えてみよう。こちら側はモノの国。あちら側は情報の国。「モノと情報の交換」は国家間の貿易なのだ。
なのにだ、われらが「情報の国」には通貨がない
だからやむを得ず、「モノの国」の通貨を借りて貿易するのだが、これが面倒なのだ。
通貨を用意していないのに、「なぜモノの国は我々ともっと貿易してくれないのだろう」と悩んでいるのが現状じゃないか。モノの国の人々にケチをつける前に、ネット側がきちんと貿易できる体制を整えるべきなんじゃないだろうか。

もしもネット通貨があったなら

こんな世界を妄想してみよう。
ネットには独立した通貨がある。ネットに国境はないから、ネット上では世界中の人が同じ通貨を使う。ネット上にも銀行があり、いつでもこちら側の通貨とネット通貨を交換(両替)できる。為替レートも設定され、レートは日々の売買によって上下する。誰もがネット銀行に自由に口座(アカウント!)を開設でき、そこからネット上の買い物ができる。あるいは企業がネット銀行に口座を持ち、そこで商売できる。こちら側の銀行からネット銀行への振込みも簡単だ。・・・
ここでは現実性とかセキュリティ上の不安は置いておくとして、だ。
これなら「ネットはお金が居ない世界」じゃない。ちゃんと経済圏が回る。
ここまで整備されていたら僕はもっとネットでお金を使うと思う。駄菓子屋でチョコを買うように、ネットでブログの記事を10円で買うと思う。もっとネット上でビジネスも考えると思う。もっとネットとリアルがつながると思う。