3次元モデリング技術の出口

先日、ボトムズのプラモデルの設計データを3次元CADでモデリングした方と話す機会があった。そのプラモデルの実物もあり、それを動かしながら色々と説明してくれた。僕はボトムズのことはよく知らないのだけれど、そのプラモデルは関節の動作自由度がかなり高く、へぇ〜っと感心して思わず見とれてしまうほど精巧にできたものだった。モデリングに数ヶ月を要したようだ。

驚いたことに、その方はもともと自動車会社に勤務していたという。前職では自動車のデザインをCADでモデリングしていたそうだ。自動車業界でCADモデリングのスキルを身につけた人が、転職してプラモデルの設計をしている。これって、すごく面白いことだなと思う。

つまり、3次元モデリングというスキルがあれば、別の業界にも移れるってことだ。そのスキルの出口が、自動車からオモチャに変わったに過ぎない。

今、自動車業界は不況だ。恐らく、この業界内でCADモデリングをやっている人たちの仕事も減っているだろうと思う。つまり多くの人が、3次元モデリングのスキルを持て余しているのだ。出口を失った3次元モデリングの技術は今後どこへ向かうのだろう。きっと別の業界にも流出していくに違いない。

着目すべきは、自動車業界がどう回復するか、ではないだろう。そうではなくて、この不況で出口を失った技術がどこへ向かって流出するのか、だ。その流出が集まって大きなうねりとなったとき、何か変化が起こる可能性がある。かくいう自分も、3次元形状処理技術の出口を探している一人なのだ。出来ることならそのうねりに自分も乗りたいものだと思っている。