金融危機はラッキーだ

明けましておめでとうございます。今年もよろしく。
逆説的に聞こえるでしょうけど、金融危機のおかげでむしろ今年は希望に溢れる年に出来るはず。そういうつもりで明るくいきましょう。


自動車産業って既に衰退期だよね。少なくとも、これからどんどん伸びていく新興市場ではないことは確かだ。もう完全に成熟している。

もちろん、これは今回の金融危機に端を発した不況の以前から分かっていたこと。しかし、衰退期とはいっても依然としてその絶対規模は大きいわけで、日本という国は少なからずこの自動車産業に寄りかかって成立しているわけだし、そういった事実には目を背けてしまいがちだ。

つまり、茹でガエル状態になりがちだったってこと。自動車産業やその他の製造業がじわじわと衰退していくに従って、日本全体もゆっくりと衰退していく。僕はちょっと、そんな暗い未来を予想していたよ。


しかし、金融危機が起こった。

自動車産業の状況が、ものすごく分かりやすい形で衆目に晒されることになった。何らかの変化が必要であるということに、誰もが気づく状況になった。これはすごいチャンスじゃないだろうか。

幾つかの企業で内定取り消しが発生した。これからも大手企業は採用活動を小さく抑えるだろう。だとしたら、従来なら大手企業に流れていた優秀な人材はどんな企業に就職することになるのだろうか。これから成長の見込める新興企業に就職するかもしれない。これはすごいチャンスじゃないだろうか。

派遣切りが起こった。職を完全に失ってしまった人はもちろん不幸で何らかの救済があっても良いと思うけれど、そういう人ばかりではないだろう。きっと新しい職場を見つけて働き始めた人も数多くいるはずだ。もしかすると、かなりの数の労働力が自動車産業から別の産業へ移ったのかもしれない。これはすごいチャンスじゃないだろうか。


僕が関係しているCAD業界(製造業向けの3次元CAD)も、もう衰退期だろうね。以前は色んなCADが拮抗していたけれど、徐々に少数のCADに収束しつつある。Dassault社やAnsys社も買収を進めているようだ。これが市場が成熟してきた証左なんだろうと思っている。

僕はなんとしてでも、茹でガエル状態からは脱出したいと思うよ。

不況は、変化を嫌う者にとっては不幸でしかないが、変化を起こそうとする者にとってはチャンスだ。昨年を漢字一文字で表すと「変」の年だったそうだけど、むしろ今年こそ「変」の年にしないとね。