クォータニオンとオイラーの公式に関する疑問

先日に引き続き、クォータニオンについて。
クォータニオンについて、一つ疑問に思っていることがある。これはホントに知りたいと思っているので、誰か分かる人がいたらぜひ教えて欲しい。

疑問

複素数には、オイラーの公式という非常に美しい式があるわけだ。
 e^{i\theta} = \cos \theta + i \sin \theta

この公式のおかげで、任意の複素数は次のように指数関数で表せてしまう。
 z = re^{i\theta}

だから、複素数の積は次のようにごくシンプルに求めることが出来る。
 z_1 z_2 = (r_1 e^{i\theta_1})(r_2 e^{i\theta_2}) = r_1 r_2 e^{i(\theta_1 + \theta_2)}

すげー、オイラーすげー。
・・・で、これと同じようなことがクォータニオンでも出来るの?ってのがその疑問。

クォータニオンを指数関数で表現できるか

次のクォータニオンを指数関数で表現したい。
 q = w + ix + jy + kz = w + {\b i}^T {\b v}

というわけで、僕なりに式変形にトライしてみた。まず虚部のベクトル v を正規化することにする。
 a = ||{\b v}||, \quad \bar{\b v} = \frac{\b v}{a}
 \Rightarrow q = w + {\b i}^T \bar{\b v}a

さらに全体を正規化することにする。
 |q| = \sqrt{w^2 + a^2}
 \Rightarrow q = |q| \( \frac{w}{|q|} + \({\b i}^T\bar{\b v}\)\frac{a}{|q|}\)

ここでθを次のように定義する。
 \theta = \arccos \frac{w}{|q|}

さらに、次の記号を導入する。
 i' = {\b i}^T\bar{\b v}

すると q は次のように書き換えられる。
 \cos\theta = \frac{w}{|q|}, \quad \sin\theta = \frac{a}{|q|}
 \Rightarrow q = |q|\(\cos\theta + i'\sin\theta\)

いよいよ核心に近づいてきた。後は新たに導入した  i'虚数単位 i と同様の性質を持つか調べればよい。つまり、 i'^2 = -1 が成立するかどうかを調べればよい。
 i'^2 = \({\b i}^T\bar{\b v}\)^2 = \bar{\b v}^T \({\b i}{\b i}^T\) \bar{\b v} = \bar{\b v}^T \(K - I\) \bar{\b v} = {\b i}^T\(\bar{\b v}\times\bar{\b v}\)-||\bar{\b v}|| = -1

以上より、i' が虚数単位と同様の性質を持つことが示されたので、オイラーの公式により q は次式で表現できる。
 q = |q|e^{i'\theta}
・・・これ、あってる?うーん、自信がない。いっとくけど、ここに書いてあること信用しちゃダメよ。この式展開は僕が生半可な知識で計算しただけのものだからね。

掛け算で生じる矛盾

では、クォータニオンの積はこの表現を利用して簡潔に計算できるのだろうか。結論からいうと、どうもダメっぽいのだ。しかし僕にはどこで間違ったのかが分からない。誰か分かる人は間違いを指摘して欲しい。

次の2つのクォータニオンを考える。
 q_1 = |q_1|e^{i'_1\theta_1}
 q_2 = |q_2|e^{i'_2\theta_2}

この積を計算すると、次の等式が成立してしまう。
 q_1 q_2 = |q_1| |q_2| e^{i'_1\theta_1 + i'_2\theta_2} = |q_2| |q_1| e^{i'_2\theta_2 + i'_1\theta_1} = q_2 q_1

しかしだ、一般にクォータニオンの積に交換則は成立しないのだ。
 q_1 q_2 \neq q_2 q_1

うーん、矛盾が生じてしまった。いったいどこで間違ったのだろうか・・・?
誰か教えて〜。