CADの未来を感じる天才的なユーザーインターフェイス

福耳先生(id:fuku33)からコメントを頂いたので、この場で回答。

こういうのって遊び心があって面白い、しかも感性を反映させやすい一種のCADだなと思いました。SNSで知り合った人の先輩だそうですが。
http://www.den.rcast.u-tokyo.ac.jp/~yuki/plushie/index-j.html

御本職から見て、こういう面白さってどんなものでしょう?

すごく面白いと思うし、これからのCADというのはこういう方向性だと思う。ぬいぐるみモデラーの話は聞いたことはあったけど、動画を見たのは初めてかもしれない。ご紹介ありがとうございます。

リンク先を見ると、森悠紀氏と五十嵐健夫氏の連名になっているのだけれど、森氏は姓が五十嵐に変わったとあるので、たぶんお二人はご結婚されたのでしょう。


で、僕は以前、五十嵐健夫氏の研究されたTeddyというソフトに大きな衝撃を受けたことがある。こんな簡単で直観的な操作で3次元形状がモデリングできるのかと驚いた。これは将来、3次元CADは難しいという先入観を根底から覆す可能性のある研究だと思った。なんてったって、小学生でもやすやすと使えるのだから!
Teddy のページへようこそ!


五十嵐健夫氏は「うるまでるびペイント」の開発にも関わっていて、これも非常に面白い。こちらは2Dのペイントソフトだから3次元CADとは違うけど。ちなみに、うるまでるびさんというのはウゴウゴルーガとかおしりかじり虫で有名なデザイナの方だ。
http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/05/08/udpp/


さて、「次世代CAD」というものを構想するとき、「製造業」という業界だけに限定して考えてしまうと将来を見誤るように思う。もっと主観的にいえば、製造業に限定した次世代なんて「面白くない」。

あえて過激な言い方をすると、製造業向けのCAD市場はもう衰退傾向なんじゃないか。もちろん絶対規模で見れば巨大なのだけれど、もう大きな成長は見込めないんじゃないか。市場の隅から隅までがビッグプレーヤーたちに埋め尽くされてしまって、新興企業が夢と希望を持って狙えるポジションは残ってないんじゃないか。

となれば、今までCADが使われていなかった分野に進出することを考える方が面白い。CADとは何ぞや、という根幹を定義しなおすことを考えていく方が面白い。そうして3次元CADが進化すれば、3次元がどんどんコモディティ化していく可能性は十分にある。そう考えたとき、五十嵐両氏が研究されているような親しみやすいインターフェイスが、今後のCADの将来を占う大きな鍵の一つなのではないかと思う。