[software][misc]「無駄」とは何なのか

「無駄」の意味が変わってきたのかもしれないなー、などと思った。

「私がこんな設計をしたら,社内で絶対通らないですよ」(技術者の一人)。「技術的にすごいと感じるところは一つもない。我々ならもっと安く作れる」(ある技術者)。MacBook Airの内部構成は,設計の未熟さを表しているのだろうか。

【MacBook Air分解その5】「外は無駄なし,中身は無駄だらけ」 | 日経 xTECH(クロステック)

最大の無駄は「売れないものを作ること」という考え方もあるのではないか。
まだ売れるかどうか分からないものの品質を作りこむことは、徒労に終わる可能性がある。つまり「無駄」になる可能性がある。品質を高く、製造コストを低く設計するのが、設計の真骨頂だとは思うのだけれど、そもそもその商品が売れなければ、その努力が無駄になってしまう。


だから、まずリリースする。
コンセプトを市場にアウトプットする。
そして市場の反応を見る。
製造コスト云々は、そのコンセプトが市場に受け入れられることが証明されてからで遅くない。
売れるか分からないうちから、製造コストを気にする方が無駄だ。


これがアップルの姿勢なんじゃないかなー。


ベータ版でもいいから、とにかくリリースしよう、という文化は、ソフトウェアの文化だ。日本流の品質を作りこむモノづくりの文化とは大きく異なる。
しかし、もはや戦場はハードウェアからソフトウェアに移ったのかも、などと思う。
アップルは、ノートパソコンを売っているのではなくて、ノートパソコンに付随する「ユーザーエクスペリエンス」というヤツを売っているんじゃないか。つまり、モノを売っているんじゃなくてソフトを売っているんじゃないか。


車だってそうだ。最近の車のCMは、車をCMしていないよ。その車を買ったらどんな体験が出来るか、をCMしている。「モノより思い出」とか。
クレジットカードのCMもそうじゃないかな。「お金で買えない価値がある、買えない物はマスターカードで。」ってヤツ。マスターカードを使えばこんな体験が出来ます、ってのをCMしている。
みんなモノを売っているように見えて、実はソフトを売っているんだ。


従来の日本のモノづくり文化だけでアップルを見たら、首をかしげて終わってしまうんじゃないか、という気がしてならない。こういうソフトウェア的な文化を学んだ上で、日本のモノづくりの強みをどう活かすか、という議論に発展すればいいな、なんて思った。