最初はコミュニケーション「能力」なんてイラネ

こういう方々が口にされるコミュニケーション「能力」って、何だッ?

IT業界はどのような学生を求めているのか。重鎮たちは「コミュニケーション能力に長けている人」(浜口氏)、「チャレンジングで好奇心旺盛な人」(岡本氏)の2点を挙げた。

IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ − @IT

大事なのは

  • 何かを伝えたいという気持ちを持っていること
  • 相手から何かを聞きだしたいという気持ちを持っていること

だろッ?

もちろん、営業とか接客とか、お客様とコミュニケーションをするプロであれば、「気持ち」だけではない「能力」も必要さ。でも、IT技術者であれば、しかも新卒の学生に向けたものであれば、コミュニケーション「能力」は求めなくてもいいじゃないか。

逆にね、そういう気持ちがないのにコミュニケーション「能力」だけに長けている人ってね、少なくとも僕は要らないよ。(まあ、僕はSIerじゃないから僕がそんなこと言ってもしょうがないんだけど・・・)

もちろん、コミュニケーションは重要。だって、ソフトウェアはコミュニケーションで出来ているんだから。

ソフトウェア開発は壮大な伝言ゲームであり、ソフトウェアはビットの塊ではなく、コミュニケーションの塊で出来ている。

オブジェクト倶楽部クリスマスの資料:An Agile Way:オルタナティブ・ブログ

でも、そのコミュニケーションは「コミュニケーション能力」で出来ているわけじゃないんだYO!「いいシステムを作りたい」という熱い想いで出来ているんだYO!その想いを重鎮が学生に伝えなくてどうするんだYO!


僕はSIerで働いた経験がないから、こっから先は単なる想像なんだけど。
何故「重鎮」は学生にコミュニケーション能力が大事と言ってしまうのか、を妄想してみる。

現在、IT業界が空前の人手不足に喘いでいるのを知ってますか?

たとえば、転職市場におけるベンダー各社の動きで一番分かり易いのが、中途採用の紹介料を軒並み倍増しているという点です。

今年の初め、人材紹介会社やヘッドハンターに支払う紹介料金の相場は、大体20%程度だったと記憶していますが、それが今や紹介料40%!年収が1000万円の人物を企業に紹介したら、400万円が紹介報酬として貰えるのです。

http://japan.cnet.com/blog/0040/today/2007/11/02/entry_25000892/

この「IT業界が人手不足」ってヤツが元凶なんじゃないかい?
これ、あちこちで聞くんだけどね、どーも僕にはワカンナイんだよ。だって、

いくつか挙げられたIT業界のイメージは実にネガティブな内容だった。いわく「きつい、帰れない、給料が安いの3K」に加えて、「規則が厳しい、休暇がとれない、化粧がのらない、結婚できない」の“7K”というイメージだ。

IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ − @IT

なんでしょ?「給料が安い」んでしょ?
「給料が安い」ってコトは、人材の需要に対して供給が過剰ってコトでしょ?なのに人手不足って、どゆこと?


やっぱり、給料が安いってのが真実なら、人材はダブついているってのが真実なんじゃないのかな?で、そのダブついた人材を「管理」する人が足りない、ってことじゃないかと。

そう、「重鎮」が欲しいのは「管理する人」なんだよ、たぶん。だから「技術をしっかり学んできて欲しい」って言わないんだよ。だから「コミュニケーション能力が欲しい」って言うんだよ。違う?


たぶん、こういう悪循環が出来ている。

  1. プログラマが(特に、優秀でないプログラマが)ダブつく
  2. プログラマを管理する人が必要になる
  3. 優秀なプログラマが「管理する人」に「昇格」してしまう
  4. 現場には優秀でないプログラマばかりがダブつく

ソフトウェアってさ、やっぱり少人数で作ったほうが断然効率的だよ。さっき「ソフトウェアはコミュニケーションで出来ている」って書いたけど、ソフトウェアの「開発コスト」もやっぱりコミュニケーションで出来ているんだよね。人数が増えたらコミュニケーションが増えて、それに応じてコストも増える。
そこで「コストを下げるにはコミュニケーション能力が大事だ」って言う意見が出るんだけど、それは多分、間違いじゃないかと。コストを下げるには人数を減らすべきなんだよ。10の能力の人を10人育てるよりも、100の能力の人を1人育てるように発想を変えないといけないんだよ。そうすれば、「IT業界は人手不足」じゃなくなると思うんだよ。
そうすれば、ボトルネックはコミュニケーション「能力」ではなくて、本当のITスキルが必要とされる業界になるんじゃないかな。