人材のモジュール化?

人材もモジュール化していくの?いやだなぁ。

仕事のモジュール化は90年代に「アウトソーシング」と「非正規雇用への転換」としてコスト削減の秘策とされてもてはやされた。
それは「オレの仕事」と「となりの人の仕事」がきっぱりと分離され、自分の仕事については自分が100%責任を持ち、その成果も損失も自分が引き受けるというスタンドアロンな労働環境を求める求職者たちのマインドともジャストフィットした。

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これは仕事のスタイルがインテグラル型(擦り合わせ型)からモジュラー型(組み合わせ型)へ移行していくことを意味するのかな。
え、何のことだって?実は「日本のもの造り哲学」という本を読んでいる。今、3分の1くらい。

日本のもの造り哲学

日本のもの造り哲学

インテグラル型」「モジュラー型」というのは本書による産業の分類だ。自動車のように自動車メーカーと部品メーカーが密接に擦り合わせをしながら阿吽の呼吸でもの造りを進めるのが「インテグラル型」、PCのように部品の規格を決めてモジュール化し、それを組み合わせてもの造りを進めるのが「モジュラー型」だ。
曰く、日本の強みはインテグラル型にあり、自動車産業はその代表格である。そのインテグラル型におけるサプライヤーとの関係について本書は次のように述べている。

日本における自動車メーカーと部品メーカーとの間の取引関係は、長期安定的であるとよくいわれますが、それだけが特徴ではありません。実は、その裏では、ランプやラジエターといった個々のアイテムごとに、少数(多くの場合は二、三社)の部品メーカーの間で非常に熾烈な能力構築競争が行われています。
あくまでそれを前提にしたうえで「任せるところには任せる」のです。例えば、生産だけではなく、詳細設計も試作も部品単体の実験も任せるし、あるいは製造段階での検査やサブアッセンブリーも任せるといった具合に、自動車メーカーは部品メーカーに、思い切って「まとめて任せる」わけです。
私は以上の「長期安定的取引」「少数者間の能力構築競争」「まとめて任せること」という三点セットが、日本の自動車サプライヤー・システムの「三種の神器」だと思っております。

これを読んでふと連想したのは一昔前の人事システム。終身雇用という安定的な雇用形態において、これはと見込んだ部下に思い切って大きな仕事を任せる、というのが従来の人材育成だったんじゃないかな。この人事システムと「インテグラル型」の産業特性がうまくマッチして自動車産業は発展を遂げたのかもなぁ、なんて思った。
かたや、昨今の人材派遣とか、成果主義とか、どうなんでしょ。まあ一部なんだと思うけど、一部では確実に人材のモジュール化は進んでいるような。すなわちモジュラー型人事システムへの移行。


で、だ。少なくとも現段階では日本の得意とする産業はインテグラル型でしょう。そこに人事システムだけがモジュラー型へ移行して、大丈夫なのかな。
いや、むしろ低迷しているモジュラー型産業の人事システムがモジュラー型に移行すれば、そちらの飛躍に繋がるのかな。うーん、そんな簡単にいくかな。
例えばソフトウェア産業はどうかな。まずソフトウェアってインテグラル型?モジュラー型?欧米のパッケージ製品はモジュラー型っぽいけど、日本のSIerインテグラル型っぽい?でも結構プログラマとかSEとかって人材の流動性が高いよね。つまり人材はモジュール化されている?ということはインテグラル型のSIビジネスに対してモジュール型の人事システムが摩擦を起こしてプロジェクトが火を吹くのかな。
・・・分からん。教えてえらい人。