誰のためのデザイン?
これは良い本。自分のためにも簡単にまとめておこう。
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
- 作者: ドナルド・A.ノーマン,D.A.ノーマン,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1990/02/01
- メディア: 単行本
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デザイナーは、典型的なユーザーではない。デザイナーは、デザインしている過程で道具自体に習熟してしまう。しかし、ユーザーが習熟したいのは道具そのものではない。その道具を使って行う作業に習熟したいのだ。この点は肝に銘じておこう。
最高のコンピュータプログラムというのは、コンピュータそのものは「消え去って」いるという。つまり、そのプログラムを使って行う作業に集中できているため、コンピュータを使っているという意識がないのだ。
なるほど、そのとおり。私が MS Word を使っていると強く意識するのは、勝手に箇条書きモードに入ったりして制御が利かずイライラしているときだ。上手く行っているときは Word を使っているということは意識しないもんね。
良いデザインの原則
- 可視性
- フィードバック
- 良い概念モデル
- 良い対応付け
なんだかアジャイル開発の方法論を連想してしまうのは私だけ?使いにくい道具と失敗するプロジェクトって、結構似ているのかも。
可視性
これは最近流行の(?)「見える化」だ。常に状態が「見える」かどうかは、その道具の使いやすさをかなり左右する。
フィードバック
フィードバック重要。道具を使うということは、それに習熟する過程でもある。特に使い方を学習している段階においては、道具に対して行った行為に対する適切なフィードバックを受け取れることが重要だ。適切なフィードバックがあると、説明書を見なくてもあれこれといじり倒しているうちに使い方が分かってくる。
良い概念モデル
一番感動したのはコレ。人は道具を使っているうちに、勝手に仕組みを「予想」してしまう。このボタンを押しているとこの操作が上手く機能しないのはこういう仕組みだからじゃないか、など。そのユーザーが勝手に予想する仕組みが概念モデル(メンタルモデル)だ。概念モデルが実際の仕組みと等しい必要はない。例え概念モデルが現実とは異なっていても、道具の動きと矛盾が生じなければOKなのだ。
いったん仕組み(概念モデル)を学習してしまえば、使ったことがない機能も動きが予測できるようになる。道具を理解し、使いこなすことができる。そのためにも、デザイナは道具に良い概念モデルを埋め込む必要があるのだ。
良い対応付け
これは、道具の操作と道具の動きに自然な対応付けがあるべき、ということ。例えば、ハンドルを右に切ると車も右に方向転換する、ということ。当たり前のことだけど、重要だ。
行為の7段階理論
というのが載っている。人が道具を使う行為を7段階に分解したものだ。が、ここでは省略して、行為を3段階に分解する。
- ゴールの形成
- 実行
- 評価
まず「やりたいこと」が頭に浮かび(ゴールの形成)、次にそのゴールを達成するための行動をし(実行)、最後にうまくいったか確認する(評価)。つまり
- Plan
- Do
- See
の順でサイクルが回る。PDCAといっても良いかもしれない。このどの段階で躓いても、ユーザーは目的は達成できない。つまり、どの段階でも躓くことがないようにデザインしなくてはならない。そのためのチェックリストがこれ。
- ゴールの形成
- 装置の機能を見極められるか
- 実行
- どんな操作をすることが出来るかを知ることが出来る
- 意図を実際の行為に対応付けられる
- その行為を実行できる
- 評価
- システムが期待通りの状態かどうかが分かる
- 状態と解釈の対応付けが分かる
- 対象システムがどんな状態であるか分かる
# まだ書き足すかも。