今朝は会社へ行く前に、妻と一緒に子供を連れて区の保健センターへ。長女の身長・体重は平均から比べてかなり小さく、そうはいってもそれほど心配するほどではあるまいと思いつつも、まあ一度は保健センターへ相談に行ってみようかということになったのである。
娘の身長と体重は成長曲線の帯の一番下(たぶん2σの線)ギリギリを這っている状態。100人を背の順に並べたら前から3〜5番目くらいだろうか。保健士さんによれば、確かに小さいのだが病的に小さいというわけでもなく、食生活も生活習慣も問題ないのでまずは見守っていけば良いのではということであった。まあ予想通りのアドバイスであったが、それでもそう言ってもらえるとなんとなく安心できるものだ。


Kindle中島敦の「李陵」を読み始めた(青空文庫は素晴らしい)。「名人伝」や「山月記」は読んだことがあったが「李陵」は読んだことがなかった。中ほどまで読み進んだが、なかなかに面白い。恥ずかしながら日本語の教養に乏しく中島敦の文章はすんなりと理解できないところもあるのだけれど、分からずとも読んだ時のリズム感は脳に響き心地よい。
実は名人伝は結構好きで、李陵を読み始めるに先立って名人伝ももう一度読んでしまった。硬い文体でありながらリズム感が良く、内容には可笑しみがあり、でありながら示唆に富むところもあるように思える。分野を問わず何らかの技術、技芸を磨いている人にとっては何か感ずるところのあるお話ではないかと思う。技を極めるとはどういうことなのか。身体知とはどういうものなのか。名人は、賞賛を受けつつも、異常に極端で、理解し難く、どこか滑稽でもある。
「不射の射」で弓を離れ、最終的に弓を忘れた名人の姿を、中島敦は肯定的に捉えていたのか、それとも批判的に捉えていたのか、はたまたどちらでもないのか。僕にはよく分からないし、分からなくてもいい気もしている。名人になってみなければ答えは分からないように思うし、名人になってしまえばそんなことはどうでもよくなるだろうとも思うし、どうやら僕が何かの名人になれることはこの先ありそうにないと思う。

むかーし、シャネルの戦略はこうだ、みたいなお話を聞いたことがある。シャネルは、シャネラーという言葉に象徴されるように、シャネル好きの女性は上から下までシャネルづくしになってもらおう、と狙っているそうだ。うん、なんかバブリーな雰囲気。むかーしむかしに聞いた話だからね。

つまりシャネルは、バッグ専門でも靴専門でもアクセサリー専門でもなく、ある特定の層の女性が身につけたいと思うものすべてを扱おうという方針だ。別の顧客層には浮気しない。ターゲットとなる顧客層を狙い撃ちして、その層が身につけたいものすべてがシャネルにはあります、とやるわけだ。

靴を作るという技術を幅広い層に展開するわけではない。アクセサリーを作る技術を展開するわけではない。技術の水平展開ではなく、顧客にフォーカスする。

別にシャネルが特別なわけでもなんでもない。例えば日本の商社は普通にこれをやっているように見える。客先に営業に出向いて、客が欲しがっている商品を取り揃えれば自然とそうなるだろう。こうしてお金の「入り口」を押さえることが出来る。販売チャネルというヤツだろう。

一方、僕みたいな小さなソフト屋はこういうことはできない。シャネル型が強いと分かっていたところで、技術で食っている零細企業や中小企業がこういう戦略を採ることはまず不可能なんじゃないか。とある顧客層向けにあらゆるソフトを作るなんて無理だ。いやソフトだけならまだしも、ハードウェアや流通なども含めてトータルにサービスを提供するなんて到底無理だ。そんな戦略は相当に大きな企業でなければ無理だ。小さな技術屋はちまちまと蓄積した技術資産を使い回しながら水平展開するしかない。

結局のところ、今まで受託ビジネスしかやって来なかった中小企業が突然パッケージビジネスやウェブサービスでお金の入り口を押さえようともがいたところで、そううまくはいかないだろうと思う。スタートアップなら博打も打てるかもしれないが、既存ビジネスからの方針転換というのは相当に難しいと思い始めた。

そんなわけで、
人月は悪どころか、ものすごい善かもしれない - レベルエンター山本大のブログ とか、
人月商売が悪だと思っている、イノセントなあなたへ - GoTheDistance とか、
そうなんだよねぇ・・・、と嘆息せざるを得ない。

time-saving と time-consuming

(今日はタイトルつけてみた。)

世にある色んな製品商品を分類する軸として、色んな軸はあろうけども、その分類軸の1つとして time-consuming か time-saving かというのはナカナカ面白いと思っている。

お客さんの時間を節約する商品は time-saving と分類する。例えば食洗機は家事の時間を節約する商品なので time-saving だ。あるいは企業向けの商品で業務効率の改善を謳っているものも time-saving な商品ということになる。

逆にお客さんがお金だけでなく時間も使う商品を time-consuming と分類する。例えば映画とかゲームとか遊園地とか、娯楽商品はすべて time-consuming な商品になるかと思う。

売りやすいのは time-saving な商品だと思う。商品の購入者は、例えば自分の生活スタイルだったり、自社の業務プロセスだったり、今までのやり方を大きく変える必要はない。ただお金を出して商品を入手すれば自分の時間が節約できる。この効果は誰の目にも分かりやすく、導入しやすく、良いものがあれば売れるだろうと思う。問題は、あっという間にレッドオーシャンになることが予想されること。

一方 time-consuming な商品は売るのが難しそうだ。この類の商品を買ってもらうためには、今までは他のことに使っていた時間を削ってその商品に時間を使ってもらう必要がある。場合によっては生活スタイルや業務プロセスを変更してもらう必要がある。また、この手の商品においてはシェア何%とかいう数字は意味を持たない。この商品の戦いはお客さんの時間の奪い合いであるから、他の time-consuming な商品すべてがライバル商品ということになるだろう。

面白いのは DeNA とか GREE のケータイゲーム。やったことがないので耳にしている情報からの類推に過ぎないけれど、time-consuming なゲームは無料で提供して、そのゲーム進行を速めるアイテム、つまり time-saving なアイテムを有料で売っているんじゃないかな。time-consuming と time-saving をうまく組み合わせている。

直観的には time-saving な商品はもう出尽くしたような気がしている。もう time-saving な革命は起こらないんじゃないか、と思う。もう十分に time-saving は技術は出揃ったのであって、これからはどんな time-consuming な商品で時間を楽しく過ごすかが大事なんじゃないだろうか。

では time-consuming な商品の市場として日本を見たとき、日本人の財布の総和を考えるだけでは市場規模を見誤る。日本人が持っている時間の総和も考えなくてはならないはず。パイはお客さんの時間なのだから。その時間を奪い合うのだから。

そういう目で見たとき、日本人は時間の観点からはあまりリッチとは言えない印象があるねぇ。あとはやっぱり、シニア世代はお金も時間もあって、time-consuming 市場として有望という気がするねぇ。

あ、今思いついたけど、シニア向けのSNSとかってダメかな。シニア世代が集まる場所に行って Facebook を作るの。例えばゴルフ場とかどうかな。で、一つのゴルフ場を制覇したら隣のゴルフ場へターゲットを移す。Facebook が大学から大学へ飛び火したように。

あー思いつきで物言うのって楽しいね。テキトーに言うだけだから。


閑話休題
今日は、下の娘がほぼ生後100日ということで、簡単にお食い初めの儀式をした。金目鯛を買ってきて妻が煮付けを作ってくれた。本当はお食い初めは焼き魚にするのが正しいらしいけれど、煮付けが食べたいねと意見が一致したので煮付けにしてしまったというテキトーぶり。

ネットは広告で溢れている。コンテンツは無料で、広告収入を得ている。メディアとは情報媒体というよりも、むしろ広告媒体なのかもしれない。

IT革命とか言われて、ウェブ2.0という言葉も流行って、クラウドだのと騒いで、スゴイスゴイと踊ってみたものの、ネットで広告されているのは特段新しくないものも多い。生活必需品だったり、美容だったり、家電だったり。

つまるところ、人は革命と騒がれた技術にはお金を払わず、昔からあるものにお金を払い続けているわけか。広告媒体としてのメディアがTVから一部ネットに移っただけで、人が買っているものは案外前と変わってないのかもしれない。つまり、お金の流れ方はそれほど変わってないのかな。

一方で、メルマガはちょっと流行っているみたいだ。iPhone のアプリも売れている。あれはコンテンツ自体を売っている。コンテンツにお金を払っている。面白いなあと思う。

はてさて気になるのは、この流れは果たして3Dにも来るか、ということ。人々が3Dコンテンツにお金を払う日は来るだろうか。

・・・うーむ。眠い。オヤスミナサイ。

http://g-ecx.images-amazon.com/images/G/01/kindle/tequila/dp/KT-slate-02-lg._V166940136_.jpg

ここ最近は通勤電車で Kindle が活躍中だ。とても軽く、とても読みやすく、想像した以上にこれは良い。実際にこうして手にとって見ると、ああこれは確かに電子書籍の時代がかならず来るなと肌感覚で確信することが出来る。

先日は達人出版会から面白そうな書籍が無料で出ていたのでダウンロードしてみた。ケヴィン・ケリー著作選集 1 - 達人出版会

恥ずかしながら僕はケヴィン・ケリーという名前に聞き覚えがなかったのであるが、目次をぱっと見たとき第1章のタイトルに興味を惹かれてダウンロードしたのであった。第1章「無料より優れたもの」。

早速、まず第1章だけを読んでみた。

情報はタダでコピーができてしまう。コピーが無料ならば、コピー出来ないものを売る必要がある。著者はコピー出来ない価値として次の8つを挙げている。(著者はこれらを「生成力」と呼んでいる)

  • 即時性
  • 個人化
  • 解釈
  • 信憑性
  • アクセスしやすいこと
  • 具体化
  • 後援
  • 見つけやすいこと

ソフトウェアのビジネスとしてこれは切実な問題だと思うし、色々と思い悩んでいるところであるけれども、まだこれという方向性は見つけることが出来ていない。この本がなにかヒントになると良いと思う。

そうそう、この本は Creative Commons ライセンスだそうで、翻訳したものがブログで公開され、それを達人出版会が無料で電子書籍にした、という流れとのこと。このような興味深い書籍を無料で読めるのはその過程に関わった人たちの尽力によるものであり、感謝したいと思う。と同時に、「無料より優れたもの」について述べている本が無料となっている状況は面白いというべきか、悩ましいというべきか。

ヒスイをWPF/MVVMに対応させたくて色々と調査したり設計を構想したりしているのだけれど、なかなか難しくて前に進んでいる実感がない。まるで着地点が見えない。まだまだ苦労しそうだ。

とりあえず目指す地点として定めた目標としては、次のような雰囲気でXAMLが書けたらいいんじゃね?というところ。これでViewModelの保持するオブジェクトがOpenGLの3Dビューに描画できるようになったら割りとクールなんじゃないかと思う。

<hisui:ViewControl>
  <hisui:SceneGraph ScenesSource="{Binding Path=...}">
    <hisui.SceneGraph.SceneTemplate>
      ...
    </hisui.SceneGraph.SceneTemplate>
  </hisui:SceneGraph>
</hisui:ViewControl>

で、早速つまずいた。

まず DataContext プロパティは継承されて Binding の Source は省略できると期待していたけど、これは出来ないようだ。SceneGraph クラスを FrameworkContentElement の派生クラスとして定義すれば DataContext プロパティも継承されるようだけど、そのためだけに SceneGraph クラスを FrameworkContentElement から派生させるのは正しくないように思われる。

次によく分からんのが、ScenesSource と SceneTemplate の周辺。これはもちろん、ListView や TreeView の ItemsSource/ItemTemplate を真似た設計目標だ。でも実際に実装しようとしたらどういうコードを書けば良いのかしらん?

くそう、明日が見えないぜ。

いつもどおり朝は2歳の娘を保育園に送る。ロッカーの上には園児たちが作ったクリスマスリースが飾ってあった。娘の「作品」も発見。リング状にカットされたグリーンのボール紙にいろんなシールが貼ってある。ふむ、心なしか我が娘の作品は他よりも貼ってあるシールが多いじゃないか、などと親バカぶりを発揮しつつ、会社へ。

午前中は昨日に引き続き以前納めたツールのGUI周辺を手直しするお仕事。IGESデータをポリゴン化してSTLに変換するツール。メッシュの簡略化(リダクション)機能付き。要求仕様に従いそのGUIを手直ししたり、多言語対応したり。プログラマとしての正直な気持ちを吐露すれば、もう少しお金を頂いて、もう少しきちんと丁寧に作りこんだGUIにしたかった。やはり作り手としては納得の行く良いものを作り込んで納品したいものだ。だがこればっかりはお客様の事情もあるし、詮なきこと。

夕方からは別件でお客様のところへ。私が作成したCAEメッシュでシミュレーションした解析結果のレポートを担当者から聞く。私が作成したメッシュについては問題ないようで一安心。それにしても、数値シミュレーションが発達してきたといってもなかなか定量的な数字は実験と合わないもののようだ。担当者の方は相当に苦労されているようで、頭が下がる。

ちなみにメッシュは生成ツールを突貫工事で開発して作成した六面体メッシュ。形状は平面や円筒面などで構成されたもので自由曲面は存在しない形状だったが、マルチマテリアルであり媒質間で頂点を共有する必要があったため苦労した。突貫工事の割にはナカナカ良いツールが開発できたように思う。

再び社に戻り、今度は先週から取り掛かっているヒスイのMVVM対応の作業に。ヒスイのOpenGLのビューをWPFコンポーネントとして開発し、ViewModel に定義された3Dオブジェクトに Binding することでビューにシーンを表示できるようにしたい、などと夢想している。しかしまだ妄想が実現可能なのかどうかすら覚束ない状況で、暗中模索している。WPFコンポーネント開発について解説された良いページや書籍があるといいのだけれど。ご存じの方いらっしゃればぜひご教示ください。